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都市伝説に秘められた謎

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皮膚呼吸ができないと……

映画【007 ゴールドフィンガー】を見たことがある人はいるでしょうか。

全身に金粉を塗られた女性が、皮膚呼吸ができなくなって命を奪われるといったシーンがありました。また、テレビ番組の中で、全身に金粉を塗って踊っているのを見て、皮膚呼吸ができなくなるから早く洗い落として!と思ってハラハラして見ていたのを思い出します。

金粉で皮膚呼吸が……

肌

先に紹介したように、映画の中で金粉を使って命を奪ったり、金粉ショーで1時間以内に洗い落とさなければ、皮膚呼吸ができなくなって命が危ないという都市伝説がありました。1時間が限界という説が、なんだか科学的根拠を示しているようで、とても怖いと思ったものです。

実際、【007 ゴールドフィンガー】の撮影のときには、撮影スタッフもこの説を信じていて、医療スタッフを立ち合わせていたくらいです。

皮膚呼吸できないと危険?

大人も子供も信じていた都市伝説ですが、本当に皮膚呼吸ができないと命が危なくなるのでしょうか。

私たちは鼻と口を使って、肺で呼吸しています。金粉ショーなどでは、使用する金粉の質によっては身体によくない物質が含まれている場合があります。純金の場合は安定しているので心配はいらないのですが、そうではない場合、皮膚からよくない物質を吸収してしまい、中毒症状を起こしてしまう場合があります。

金粉ショーの場合、何度もメイクするのに時間がかかるので、1日中金粉を身体に塗りっぱなしの場合がありますが、肌が荒れることはあっても、皮膚呼吸できずに危険にさらされることはないというのが、一般的に知られてきています

。実際、皮膚から身体に取り込まれる酸素の量は、総呼吸量の1%にも満たないため、肺がおかされるならまだしも、皮膚から呼吸できなくても、命に別状はないのです。

皮膚呼吸じゃないけれど

歌舞伎

皮膚呼吸でも金粉でもありませんでしたが、肌に塗るもので身体に異常をきたしたものとして社会問題になったものがあります。

明治時代のことですが、歌舞伎役者が顔を白くするために使っていた鉛を使った鉛白で、鉛中毒を起こしてしまいます。人気歌舞伎役者が、歌舞伎の演技中に足が震え、演技を続けることができずに、歌舞伎公演が中止になってしまった事件がありました。

こうした事件も、肌に何か塗ると、皮膚呼吸ができなくなって命に関わるという都市伝説に繋がっていったのでしょう。

人は皮膚呼吸していない

そもそも、人間は皮膚呼吸をしていないという事実を理解している人がどれくらいいるのでしょうか。

皮膚呼吸をしているのは爬虫類や両生類であり、私たち人間は皮膚呼吸をしているわけではありません。呼吸とは、酸素を取り込み、二酸化炭素を排出することで、薬などを塗って、皮膚から成分を吸収するということはあっても、呼吸ができなくなって命が危険に晒されると言うことは、有り得ないことなのです。

ファンデーション

『皮膚呼吸を妨げない化粧品です』『肌が呼吸できるファンデーションです』などと詠っている化粧品もありますが、これはただのキャッチコピーとして考えた方がいいでしょう。仮に、美容部員や化粧品メーカーの人間が、真剣に言っているのであれば、大きな間違いです。化粧品を塗ったからと言って、皮膚呼吸が阻害されたりすることは、最初からないのですから。

ただ、化粧品販売員も騙しているつもりはなく、自分でもそう信じているだけなのです。皮膚科の医師でさえも、人間が皮膚呼吸をしていると思っている人もいるくらいです。

お風呂に入って、毛穴から小さな気泡が出るのを見て、自分は皮膚呼吸をしていると思ったことはありませんか? 自分はそれを見て、皮膚呼吸をしているものだと普通に疑いもせずに思っていましたが、産毛についている空気だったりするのです。


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